こんばんは。異界に興味があるタヌキです。

異界?

突然ですが、「異界」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?

Wikipediaによれば、「異界」とは下記のことを指すそうです。

民俗社会において、霊魂が行く他界来世)を含め、自分たちの社会の外側に広がる世界を意味する。他界が時空による認識であるのに対し、異界はむしろ空間で捉えられる。例えば、妖怪が住む世界は異界であり、死後の存在である幽霊とは区別される。現代社会では、特定の社会から見た異質な社会の空間を異界と呼ぶことがある。

(中略)

異界という語は、人間が分類体系を作り上げる際の構造論と関連している。我々の自己中心的世界観で内部と外部を二項対立的に認識する場合、後者が異界である。よって様々な程度で、境界を挟んで異界が存在する。例えば自分の家に対する家の外、自分のムラに対する外側は異界である。つまり、異界は入れ子構造で多数存在する。」

詰まるところ、自分と他を区別した時の「外側」にある世界、のことです。

野生の思考でレヴィーストロースが指摘するように、物事は「分類する」ことで一定の秩序を作り出すことができます。どこで線引きしたらいいか明確で無い場合でも、カオスをカオスとして「分類しない」よりも、それが間違っていたとしても「〇〇と異なるもの」として区別することで、「〇〇」の中において集団の統合を図ったり、生命力の賦活が可能になります。

人が山に登ったり、工場夜景に心を惹かれたりするのは、自分の生活している空間の外側を覗いてみたくなるから、かもしれませんね。

「存在しないはずなのに、存在してしまった幻想」ヤベー。

思想家の内田樹氏が勧進帳を例に挙げて面白いことを指摘していますので以下ご紹介。

『安宅』が弁慶の例外的武勲として千年にわたって語り伝えられているのは、「ないはずのものをあらしめることによって、あるはずのことをなからしめた」という精密な構造のうちに古人が軍功というものの至高のかたちを見たからである。
『安宅』は「存在しないものをあたかも存在するかのように擬制することによって、存在したかもしれない災厄の出来を抑止する」というメカニズムを私たちに示してくれる。
ここでいう「存在しないもの」が「災厄の到来を事前に感知する能力」である。
(中略)
この幻想的に構築された物語が、現実の災厄の出来を抑止する。
私が「デインジャー対応能力」と呼ぶのは、ひとつの「物語」である。
そう言いたければ「幻想」と言い切っていただいても構わない。
けれども、幻想を侮ってはいけない。
存在するはずだったのに、しなかった現実」と均衡するのは、理論的には「存在しないはずなのに、存在してしまった幻想」だけだからである。
それはシーソーのような構造になっている。

異界はいろいろな形で表現されます。神社の禁足地であったり、ホラー映画で使われる人気の無い団地であったり。映画「千と千尋の神隠し」「となりのトトロ」のような異世界モノの物語は多いですよね。「恐ろしいもの」であったり「なぜか気になる」ものを脳裏に留め、我々の緊張を最大限に覚醒させるシステムとして、異界について綴る、という仕組みが働いているのだと思います。

私が猟師という生き方に興味があるのも、神主や僧侶といった「こっち」と「あっち」の境目に生きることに興味があるから、というのが一因としてあります。自然と人間世界の境目(里山とか)、機械世界と人間世界の境目(工場群とか)といった境目を探訪できたら、どんなに幸せだろう、と思うのです。

今回はいきなりディープな世界には足を踏み入れず、ちょっと気になったところに立ち寄ってみることにしました。それが「都営勝どき六丁目アパート」。高層マンション群の中にある「ちょっと古めのアパート」ですが、「存在しないはずなのに、存在してしまった幻想」への入り口として語るには十分な面白さがあるように感じました。このアパートの存在が勝ちどきに「存在するはずだったのに、しなかった現実(ゴジラ出現とかの大災害とか)」と均衡としている、と考えるだけでワクワクしてきます。1棟のアパートですがすごい質量を持ってそうですね…。自分でも何言ってるのか分からなくなってきました。

「都営勝どき六丁目アパート」に行ってみた

勝どきと言えば、今や都内有数の高級住宅地ですよね。モザイク模様の外装で一際目立つ2棟の超高層マンションTHE TOKYO TOWERS(ザ・トーキョー・タワーズ)は、再開発事業によって2008年(平成20年)1月に完成。地上58階建ての住居棟は竣工時、分譲マンションとして日本国内最高階層の建物でした。

あの「東京タワー」にとって変わる東京のシンボルを自負しているからこそ「トーキョー・タワーズ」なんて名前を付けられたのでしょう。TOKYOを名乗る物件は、立地条件の悪さをごまかすネーミングだとはよく言われていますが、実際のところ、そんなに立地は悪くないように思います。因みに、賃貸の場合70㎡で30万円/月、購入となると6000万円〜という高額設定の物件です。

さて、今回探索するのは、この「トーキョー・タワーズ」の裏に立地するアパート。

そう、知ってる人は知っている、あの「都営勝どき六丁目アパート」。実はこの建物、松田優作主演「家族ゲーム」で、松田優作扮する家庭教師が訪れる家「沼田」家が住んでいるアパートとして、映画中に何度も登場する建物なのです。

暗くて分かりづらいが、門の入り口にはアパート名を示す表札があります。

実はこのアパート、都営住宅。

都営住宅とは、「公営住宅法に基づき、所得の低い方を対象とした、東京都が管理する公営住宅」であり、基本的に空き部屋が出たら抽選を行い、当たった人が入居する仕組みになっている。ということで、住みたい!と思っていても実際に住むためには、基準の収入以下&家族世帯&高倍率の抽選突破者のみ、となり、住むのは難しいでしょう。

裏にはトウキョウ・タワーズが聳え立っており、あまりに対照的です。こちらは「高額すぎて」我々のような庶民には住むことが難しい(笑)

目まぐるしく開発の進む臨海部なので、六丁目アパートも人が住んでいるとは言え、建て替えも含めて無くなる可能性がありそうな物件。都市遺構として残されることもないでしょうから、共用部分だけちらっと見させていただくことにしました。

早速エレベータで最上階を目指します。が、夜間になると1階ずつ各階に停車する仕組みになっており、14階を目指すのに3分程かかります。各階着くたびにチーンと音が鳴るので、防犯効果もあってのことかもしれません。犯罪者でもないのにドキドキ。。

沢山の注意書きが書いてあります。これは東京都住宅供給公社共通フォーマットでしょうか?

最上階の14階に到着。廊下はちょっと薄暗い。子育て世帯からするとちょっと心配になる暗さではあります。

ここで家族ゲームのトレーラーからキャプチャを見てみましょう。

で、下が実際に撮った写真。

うむ。外の景色こそ変わっていますが、昔の面影がありますね。80年代と現在が繋がっているようで、何か不思議な気分です。

廊下から身を乗り出してみると、なんとレインボーブリッジを見渡せます。部屋からレインボーブリッジが見渡せる都営住宅。素晴らしい!

足下には運河が広がっています。

劇中、優作が小型ボートに乗ってやってくるシーンがありますが、まさにこの建物なら運河から徒歩2分。

「勝どき」駅が出来たのは最近の話。

因みに、勝どき駅から大手町駅までは電車で15分もかかりません。都営バスも東京駅まで直通バスが出ており、交通の便は良い部類に入るろ思います。何処に住んでいたら船でやってくる必要があるのだろう、と思いましたが、1983年当時は勝どき駅は無かったんですね。(大江戸線勝どきは2000年に開業)

異界への入り口は見つからなかったけど…

裏には高層マンションが聳え立ち、眼下には運河が広がる。部屋からは台場を見渡す位置に立ち、皇居までは至便な距離。

こんな便利な場所にポツンと残されたアパート。何も知らない人からは「なんでこんな場所に建ってるの??」と思われてしまいそうですが、ずっと、この場所を見守ってきた建物なんだ、っていうことが行ってみてよく分かりました。

以上、自己満足レポートでした!ではまた!!

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