「ねえ、どうやってタスク管理してる?」

IT系に比較的強いと思われているからか、マルチタスクが得意と思われているからなのか、2ヶ月に1度くらいのペースで同様の質問を受ける。そして全くマルチタスクではないし、しばしば大事な約束すらすっ飛ばすダメ人間である私の回答は決まってこうだ。

「カレンダーと、GTDだね」

カレンダーとは Googleカレンダーのこと。そしてこのエントリーを読んでいただいている皆さんはGTDが何を示しているか、既に知っている人が大半だろう。興味ない人がこんなニッチな記事に辿り着くことはないからだ。

そう、GETTING THINGS DONE、の略。タスク管理手法のひとつ、だ。

GTDを実行する上で障壁になるポイントは3つある。ひとつは、GTDの仕組みを理解しておく必要があること。2つ目は、自分なりのGTD環境を構築する必要があること。そして3つ目は、GTDを継続していくこと。

もともとGTDを回す必要がある人は、自己管理に苦手意識をもっている人が多い。カレンダーやTODOリストといった市販の道具を使っても上手くいかず、調べあぐねた結果、GTDにたどり着いた。大半がそんな人たちではないだろうか。そして彼らは頭の中をすっきりさせることに大きな価値を感じていて、その状態を維持することが創造的な毎日を送る重要なポイントだと信じている。

かく言う僕も、GTDに出会ってかれこれ10年間が経とうとしている。デビット・アレンが書いた「ストレスフリーの整理術」は初版も改訂版も持っているし、TodoistやTaskChuteといったGTDツールにはいくつも触れてきた。しかしGTDをしっかり回しながら生活ができているかと言われれば、「出来ていない」と回答せざるをえない。この10年、やったりやらなかったりを繰り返してきた。まるで<続かないダイエット>のように。

今回のエントリーでは、3つの障壁を自分なりに解消すべく、GTDについて基本的なことを整理し、どのツールを利用し、毎日続けるためにどうするかをここに記したいと思う。これは自分にのために書く記事だが、誰かの参考になればと思い、ここに公開する。

また、この記事を書くにあたり、下記著作・サイトを参考にしているので、ここに記載する。特に<誠Biz.ID>の連載記事についてはGTDに出会った大学時代に何度も読んだサイトだが、わかりやすく説明されているのでオススメだ。

「タスク管理超入門」著:岡野 純

「ストレスフリーの整理術」著:デビット・アレン 監訳:田口 元

GTDとはなにか

たとえやるべきことがあったとしても、頭をすっきりさせつつ、リラックスしながら高い生産性を発揮していく「やり方」(「ストレスフリーの整理術」P26)、それがGTDだ。

著作のなかで、デビット・アレンがGTDの柱として挙げている事項は3つある。1つ目は、やるべきことや気になることの”すべて”を把握すること。2つ目は、人生において常に降り掛かってくるあらゆる”インプット”にその場で対処できるようにすること。そして3つ目は、様々な判断すべてを、人生における異なる視点レベルから評価しつつ、いついかなるときでも正しい決断を下せるようになること。

把握すること、対処すること、評価すること。この3本柱を実行する手段として、GTDは存在する。

管理するべきは「行動」そのもの

「今夜は青椒肉絲を食べたいな」とか、「明日中にブログ記事書かなきゃ」とか、こうした<気になること>は予期しないタイミングで思いつくものだ。<気になること>は一日で何十、何百と頭をよぎり、目の前の作業を阻害する。

プロフェッショナルが感じている<時間不足>であったり、多くの人間が感じている<主体的とは言えない日々の選択>は、時間や情報、優先度合いの把握によって解決できるものではなく、自身が行うべき<行動>自体の把握がキーとなる。

GTDの5つのステップ

デビットアレンは、著書「ストレスフリーの整理術」の中で、GTDには5つのステップを順番にこなした結果として、日常生活をスムーズに進めていく上で対処が必要なすべてのことを水平的な視点で管理できるようになる、としている。

ステップ1:把握する

<気になること>のすべてを集める作業。自分がやるべきだ、と思っている大小さまざまなことを集めなくてはならない。やろうと決めていて手を付けられないでいること、やりかけになっていること、できることはすべてやったが終わった、と実感できていないことも、すべて洗い出す。

<気になること>を管理するために、いったんそれらをすべて一時的な受け皿である<インボックス(INBOX)>に入れる。インボックスに保管したものは、時間があるときにその意味を考え、行動を起こす必要があるなら具体的に何をするべきかを考える。インボックスは、<見極める>作業によって定期的に空にすることで、<把握する>ツールとしての機能が維持される。

インボックスはアナログでもデジタルでも最小限に留めておくことが大切だ。アナログなら手書きのメモ帳、デジタルなら使用しているツールひとつに絞るなど、常に携帯できるツールがふさわしいと思う。

ステップ2と3:見極める・整理する

思いついたアイディアは、ほとんどの場合、そのままでは行動に移すことが出来ない。望んでいる結果や、その結果を生むために必要な具体的行動はなにか、必ず定義する必要がある。この一連の動作をワークフローにしたものがこれだ。

どのリストにどれくらいのアクションが入るか、<第2回GTD徹底研究会──「書き出し」と「分類」のポイントは? >の中で、田口元氏が個人的経験として以下のような割合だと記述している。

  • <いつかやるリスト>→70%程度
  • <プロジェクトリスト>→20%程度
  • <次にとるべき行動リスト>→10%程度

<次にとるべき行動リスト>のあり方については議論があるようだ。<プロジェクトリスト>の中に入っているアクションの一部は<次にとるべき行動リスト>と競合するのでは、といった議論である。ここでは<次にとるべき行動リスト>を単独アクションリストとし、プロジェクトに格納されないアクションの寄せ集めと考える。

ここで<いつかやるリスト>と<次にとるべき行動リスト>との違いを明確にしたい。重要度と緊急度のマトリクスで考えた際に、第四象限<非重要かつ非緊急>はゴミ箱に入る。第二象限<重要だが非緊急>は<いつかやるリスト>、第一象限<重要かつ緊急>第三象限<非重要だが緊急>については、<次にとるべき行動リスト>に格納される。

<プロジェクト>は、1年以内に達成可能で、複数の行動ステップが必要な「望んでる結果」のことを指す。期間を1年以内と定義しているのは、週次レビューの必要な仕事は1年以内に達成可能なものが多いからだ。プロジェクトリスト作成時に、<プロジェクトの参考情報>(プロジェクトの詳細、達成計画など)をフォルダに格納しておく必要がある。

2分以内に行動できるものはその場で処理するため、記憶の必要はない。記憶すべき行動は、特定の時間や期日にやらないといけない行動(カレンダー)、実行する機会ができたときにやるべき行動(次にとるべき行動リスト)、誰かに任せて完了の報告があるのを待っている行動(連絡待ちリスト)の3つがある。

カレンダーに記入すべき内容は3つある。特定の時間にする行動(アポ)、特定の日にする行動(書類確認等)、特定に日に使える情報(イベントの開催場所等)の3つだ。カレンダーにTODOリストは記さない。

ステップ4:更新する(レビューする)

GTDの成否のカギを握るのは、この「更新する」のステップだ。週に一度は現在抱えているプロジェクトや<気になること>のすべてを見直し、更新していく必要がある。

週次レビューでは、次のことを行う。

・やらなければならないことを把握し、どうすべきかを見極める。
・システム全体を見渡す。
・リストを更新する。
・すべてのものについて、済んだものは処分し、情報を更新する。

ステップ5:選択する(実行する)

ステップ1からステップ4までのワークフローはすべて、行動を<選択>するためにある。何をすべきかを決めるためには、4つの基準について順番に考えていくとよい。その4つとは、そのときの状況、使える時間、使えるエネルギー、優先度だ。

<そのときの状況>とは、特定の場所や手持ちのツール等に応じて出来ることと出来ないことあり、そういった制約が振り分ける第一の基準となる、ということだ。

<使える時間>とは、今確保できる時間のことだが、<使えるエネルギー>、つまり、自分の気力や体力、頭の冴え具合も考慮する必要がある。

GTDツールをどう選ぶべきか

GTDツールはデジタル・アナログを含めると無数の種類があり、時代と共に使われる道具も進化している。

例えば2008年に公開された「アナログツールでライフハック:Hipster PDA時々モレスキン,のちトラベラーズノート」では、モレスキン・メモポケッツとロディア(メモ帳)を使った、アナログのGTD方法が紹介されている。

2008年といえば、iPhone3Gが日本国内で販売された年。当時はガラケーを使う人が大半で、デジタルガジェット好きはクリエやザウルスなどのPDA(小型情報端末)を使っていた。この年をさかいにスマートフォン利用者が爆発的に増えたはずで、モバイルGTDツールとしてモレスキンを主とするシステムを考え出すなんて、まさに時代の産物と言えるだろう。

PC・スマホ両方で確認できるツールがマスト

金融系や一部IT系など、職場へのデジタルガジェット持ち込みが固く禁じられている作業環境でなければ、GTDツールは積極的にデジタル化するべきだと考えている。アナログという選択肢は捨てた上で、ポータビリティを重視したシステムを採用すべきだ。場所を問わずインボックスへの入力(把握)、見極め・整理も出来る環境がふさわしい。つまり、スマートフォンで使えるツールが必須だ。

週次レビューや資料フォルダの作成はパソコン上で行ったほうが効率がよい。レビューは多くの情報を俯瞰する必要があるし、資料フォルダの作成・閲覧には画面キャプチャーやweb上のPDFデータのダウンロードなど、データの取り扱い量が多くなるからだ。

つまり、スマートフォンとパソコンの両方でシームレスに使えるツールを選定することがマストと言える。

Omnifocusがオススメ

上記条件を満たしたGTDツールは複数あるが、個人的にはOmnifocusを勧めたい。

Omnifocusを勧める一番の理由は、GTDの考え方に忠実に基づいて作られたツールであること。そして二番目の理由は、見た目に美しいことだ。僕の知る限り、Omnifocus以上にデザインにこだわりをもったツールは存在しない。見た目などどうでもいい、機能さえしっかりしてくれれば、という人がいることは承知だが、毎日継続して使い続けるためには、美しさは大切だと私は思う。

OmnifocusはMacとiPhone利用者向け作られたツールなので、WindowsとAndroid端末では使用することが出来ない点、ご容赦を。何にせよ、GTDの考え方に基づき実践し続けられる環境であれば、他のツールでも問題ないはずだ。

Omnifocus特有の<タグ>は、従来<インスペクタ>と呼ばれていた機能にとって変わられたもので、ひとつのタスクに対して復数のタグを指定することが可能だ。

自分は<連絡待ち>や<Reference>といったステータスを保留中にするタグを用意し、今日やるべき作業には<TODAY>タグを設定している。<重要度>タグは、<いつかやるリスト>=第二象限<次にとるべき行動リスト>=第一・第三象限に格納されていないアクション(主にプロジェクトリスト)について管理するためのタグである。<買い出し>はピンでGPS設定し、町に出る際にスマホに通知する設定を済ませている。

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