「今日も働かなきゃ…」

そう自分に言い聞かせ、布団から這い出て会社に向かう昔の僕に読ませたかった本が今、てもとにある。

ナカムラケンタさん(@nknta)が書いた、「生きるように働く」だ。

生きるように働く。

僕が社会人になったのは、景気はどん底、3年以内に辞める若者が批判され、会社で修行を積むことが正しいとされていた、少し前の時代。

もし新卒社会人の僕が書店でこんな題名の本を見つけたら、またか、と思っただろう。ワーク・ライフ・バランス、働き方改革、人生100年時代...

「働くことをもっと自分でマネジメントしよう」という時流に位置づけられた言葉たち。「どこかで聞いたフレーズだ」と思うくらいで、遠い世界のことにしか感じられなかったはずだ。新橋のサラリーマンとして働き始めた僕は、毎日終電で帰るのが当たり前の生活を送っていたのだから。

 

あの頃の自分に、どうやってこの本を紹介しよう?

言葉で説明するのは難しい。

捨象して言えば、人の生き方、働き方を著者の視点から見つめた本だ。これだと何も伝わらないから、もう少しだけ詳しく説明してみる。

人を木、森をコミュニティに見立てて、種まき(=自分がやりたいこと。事業の出発点)から人の関わり合いを通じて森になる(=コミュニティが形成される)までを、いろいろな経営者へのインタビューを交えながら読者が追体験していく。

「植物にとって、生きると働くが分かれていないように」、人間にとって、オンとオフのない生き方とはどういうことか、そこにどんな可能性があるのか、ナカムラさんが考えて悩んだ軌跡が書かれていて、読者も一緒に考える余地がある。そんな本だ。これが新しい働き方だ、みたいな、押し付けがましい本ではまったくないのでご安心を。

 

本には「生きるように働く」ためのノウハウが詰まっている。

ナカムラさんが立ち上げた日本仕事百貨のHPには、本の説明として「何か答えが書いてあるわけではなく、」とあるが、実はちゃんと書いてある。ただそのノウハウは、拍子抜けするくらい当たり前のことだったりする。

・やりたいと思って始めたことを、とことんやる

・誰かに求められたら、それ以上のものを形にして届ける

・まずやってみる

・眼の前のことに向き合う

・はじめから最後まで、すべてに携わる

・皆で一緒に場を作る

・自分の価値観を超えて全体を知る

などなど。

書いてあることに特段驚きはない。当たり前すぎて自己啓発本にすら載っていない内容だと思う。でも、あなたは「主体的に」やれてますか、って問われたらどうだろう。「私」という主語を入れて、もう一度読んでみて欲しい。

私はやりたいと思って始めたことを、とことんやる

私は誰かに求められたら、それ以上のものを形にして届ける

私がまずやってみる

私は眼の前のことに向き合う

私ははじめから最後まで、すべてに携わる

私は皆で一緒に場を作る

私は自分の価値観を超えて全体を知る

働く、という観点で、果たしていくつ出来ているだろうか。

僕は今の仕事に就くまで、働くことについて主体性を持っていなかったように思う。やりたくない仕事も「将来のため」と盲目的に我慢し、上司に怒られない最低限の品質を目指し、始める度胸よりも臆病さが勝っていた。

主語を自分にして生きていくこと。働くことの主語を自分にすること。それがこの本の伝えたい根本的なメッセージだと思う。

だから、新卒のときの自分に読ませたかったのだ。

知ってる、じゃなくて、やるんだよ、自分で。
人のせいにせず、自分で踏み出すんだよ。

 

当たり前のことなんだけど、気づいている人とそうでない人とで、大きく違う人生を歩むことになる。

生き方を考えるための補助線として、多くの人にこの本が届けばいいな、と思った。

 

--------P.S (ちょっと長いよ)--------

日本仕事百貨のHP、「何か答えが書いてあるわけではなく、」の続きにはこうある。

木(=自分)と森(=コミュニティ、社会)はロマネスコのようにフラクタルな関係にある。

自分という木を大切に育てることが、ひいては社会が良くなるということにつながっている。

例えば、地域活性に関心がある僕が「活性化したい」と本当に望むなら、他人を変えようとする前に、まずはとことん自分に向かい合って自分を変えてしまえばいい。主語は自分。

僕が「やりたい」ことってなんだろう。

文章を読んだり書いたりすることが好きだから、ライターとして「書く」ことを仕事に出来たら楽しいかも。インターネットの世界にまだ表出していない地域の飲食店や祭事の情報を書くことができたら、地域貢献にもなる。ならば、今、自分がやるべきことは「文章力を磨くこと」だ。

「やりたいと思って始めたことを、とことんやる」ために、【文章で生きるゼミ 6期】に通うことにした。

詳細はリンク先から確認してほしい。

 

全講義5回のうち3回が終わった現段階での感想を手短に書いておこう。

ゼミという名称の如く、受講生が提出した課題をみんなで読む、まさに「ゼミ」形式の授業が行われている。講師のナカムラさんから文章構成を指導されることはほとんどないし、「文章の書き方」ノウハウをノートに書き写す、みたいなことも全くない。ナカムラさんは一人ひとりの課題に講評するけれど、講評時間はせいぜい5分〜10分だ。

では、一回あたり9000円するゼミに、それだけの対価を払う価値はなんだろう。

それは「生きるように働く」ことを、ゼミを通じて実体験することなんじゃないか、と僕は思っている。ノウハウに即して言えば、

私はやりたいと思って始めたことを、とことんやる

→ライターになりたいから、毎回講義に出席して、得られるものをしっかり得る

私は誰かに求められたら、それ以上のものを形にして届ける

→課題に対して全力で取り組む

私は眼の前のことに向き合う

→「インタビューする、される」というゼミ課題を通じて、今を大切にすることを学ぶ

私は皆で一緒に場を作る

→ゼミ生に対して自分から意見発信をする

私は自分の価値観を超えて全体を知る

→講師による講評だけでなく、ゼミ生提出の課題から多様な書き方を学ぶ

そんなところかな。

生きるように働くとはどういうことかを「書く」という行為を通じて学んでいる。生きるように学ぶ。この授業に出てあんぐり口を開けていても、食えるのは霞だけかもしれない。3回の授業で得た最大の学びは、「手足と頭をジタバタさせて人は成長する」ということだ。

「生きるように働く」ことは簡単ではないけれど、気負うようなことでもない。意識し続けて、考え続けて、実現していくもののような気がしている。

今は、残り2回の授業が楽しみだ。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事